株式会社オプロ

株式会社Synspective

業種: 「衛星の製造」 「ソリューションサービスおよび衛星データの提供」
業務: 「販売・購買」
製品: 「ソアスク」

わずか3か月で案件管理から見積請求業務まで業務フローの整備を実現
グローバルでSalesforceの定着化に大きく貢献するソアスク

わずか3か月で案件管理から見積請求業務まで業務フローの整備を実現 Salesforceの定着化に大きく貢献するソアスク

小型SAR衛星による観測データを活用したワンストップソリューシ ョン事業を展開する株式会社Synspective。営業を中心とした業務プロセスの管理基盤としてSalesforceを活用しており、Salesforce定着化に向けて売上管理や見積請求などの帳票作成業務にサブスクリプション管理サービス「ソアスク」を採用している。その経緯について、執行役員でソリューション部 ゼネラルマネージャー 秋山 郁氏、同部 Business planning and operation unit 櫻庭 育実氏および中村 悠布子氏にお話を伺った。

記事の要約
  • 【課題】Salesforceの定着化に向けて、業務プロセスの整備を目指す
  • 【選定】柔軟なカスタマイズで自社のビジネスへの適用が容易なソアスクを評価
  • 【運用・評価】Salesforceの定着化に大きく貢献、管理面での業務負担軽減にも寄与
  • 【今後】Excelの予実管理をソアスクに集約、業務の適用範囲をさらに広げていく

【課題】Salesforceの定着化に向けて、業務プロセスの整備を目指す

衛星からの新たな情報によるイノベーションで持続可能な未来を作ることを目指し、2018年に設立された株式会社Synspective。地球規模で観測できるデータ不足を補うべく、政府が主導する革新的研究開発推進プログラム「ImPACT」の成果を応用し、マイクロ波を使って地形や構造物の形が観測できる独自の小型SAR衛星を自社で保有。日中・夜間によらず観測が可能で雲の下にある地表も観測できるマイクロ波を使ったレーダー衛星の特長を生かしたビジネスを展開しており、得られたデータに対して解釈と理解を行うための機械学習によるデータ解析ソリューションを合わせて提供。広域の地殻変動を解析する「Land Displacement Monitoring」や災害対策のための浸水被害を評価する「Flood Damage Assessment」など、さまざまな用途に応じたサービスメニューを用意している。20カ国を超えるグローバルな人材で構成され、今では200億円を超える資金調達を実現している、宇宙開発関連のベンチャー企業だ。

そんな同社では、ゼネコンをはじめとしたインフラ関連企業をはじめ、エネルギー開発関連企業や金融機関などの顧客に対して衛星から取得したデータそのものの提供やデータ解析も含めたソリューションを提供している。しかしその契約形態はプロジェクトベースでのスポット契約や月額でのサブスクリプション契約などさまざまだ。そのなかで、日々の営業活動や見積作成、売上管理、請求処理などの業務プロセスが個別のツールを用いて行われており、申請承認プロセスもシステム化されている状況ではなかったと秋山氏は当時を振り返る。「グローバルでビジネスが拡大するなか、Excelなどを使ったアナログなやり方で案件管理を行うには限界を感じていました。そこで、新たな業務基盤としてSalesforceを導入したのです」。

Solutions Dept. Executive Officer/General Manager 秋山 郁 氏

しかし、見積作成や契約管理、売上管理など業務ごとにシステムが個別に運用されており、オペレーションの分断が大きな課題として顕在化していた。例えば見積システムが個別に存在していることで、案件管理の基盤となるSalesforceに入力せずとも、見積作成できてしまうなど、Salesforceの定着がなかなか進まなかったという。また顧客の情報が各システムに分散してしまうことで、必要な情報を探す際にも時間を要していたのだ。「将来的にはサブスクリプションを中心としたビジネスモデルへ大きく舵を切ることも視野に、まずはSalesforceを社内の業務プロセスに定着させたいと考えたのです」と秋山氏は説明する。

【選定】柔軟なカスタマイズで自社のビジネスへの適用が容易なソアスクを評価

Salesforceを中心に業務プロセスを動かすためにも、新たな環境づくりが求められた。具体的には、案件発生時の案件管理や見積・請求書作成、売上管理まで、一気通貫で業務プロセスが実装できる仕組みづくりだ。また、グローバルでビジネス展開しているだけに、見積書の多言語対応や通貨対応、定期的に発生するサブスクリプション形式の請求処理の実現など、これまでアナログで対応せざるを得なかった業務のシステム化も視野に、Salesforce上で稼働できる仕組みを検討したという。

当初はSalesforceのカスタマイズも検討したが、自社業務への柔軟な対応は可能なものの、変更が頻繁に発生する可能性を考えると、Salesforce専任者を社内に配置する必要が出てくる。「ロングタームで見ればその選択肢もありますが、事業フェーズとしてはその段階にないと考えました。現段階ではオペレーションをスマートにするための環境整備が重要で、すでに多くの企業での採用実績から知見が備わったソリューションであれば費用対効果が高いと判断したのです」と秋山氏。

そんなソリューションとして注目したのが、見積や契約、請求などのバックオフィス業務を中心に、サブスクリプションなどさまざまなビジネスモデルへの柔軟な対応が可能な販売管理サービスのソアスクだった。「他社の販売管理ソリューションも同時に検討しましたが、仕様上実現できないことが多かったのです。一方でソアスクは、カスタマイズできる範囲が広く、拡張の余地があるビジネスモデルへの柔軟な対応が期待できると考えたのです」と櫻庭氏は振り返る。秋山氏も「我々が提供するソリューションメニューごとに、ご利用形態やお客さまの層も異なっているため、請求のタイミングや契約状況も変わってきます。グローバルで拠点が増えてくれば通貨の対応なども含め、ビジネスにおける変数がいくつもあります。それに対応していくためには、ある程度作り込めるサービスと契約したかった。ソアスクには柔軟性や拡張性が備わっていると考えたのです」と語る。

実際にはソアスクのデモで初めて実物を確認し、見積作成から連動して請求書作成が可能で、各プロセスでの承認フローもSalesforce上で実現できることが分かりやすくイメージできたという。「実は下半期が始まるタイミングには実装したいという思いがいあり、3か月ほどで立ち上げることを目指した短期間でのプロジェクトでした。オプロのコンサルタントに導入支援にも入っていただくことで、短期間でのカットオーバーの実現も考えたのです。」と櫻庭氏。

Solutions Dept. Business planning and operation unit 櫻庭 育実 氏

結果として、営業プロセスのシステム化や売上管理の基盤として、そしてSalesforceの定着化が可能な仕組みとして、ソアスクが選択されることになったのだ。

【運用・評価】Salesforceの定着化に大きく貢献、管理面での業務負担軽減にも寄与

現在は、案件登録や日々の商談履歴などは営業担当者がSalesforce上に入力し、見積や請求書作成についてはソリューション部が一括してソアスクを使って実施しており、他部署も含めて25名ほどがソアスクを利用している。「営業が案件登録した情報の画面に見積作成ボタンが用意されており、見積に必要な条件などを私の方で入力し、それを押下することで見積作成を実行します。作成された見積を承認申請すると、金額に応じた承認者に承認依頼が行われ、承認済みの段階で押印された見積帳票が出力できるようになります」と中村氏は説明する。

Solutions Dept. Business planning and operation unit 中村 悠布子 氏

納品請求するタイミングで、スポットでの契約案件については請求書とともに納品書や検収書を、月額で必要が発生するサブスクリプションタイプの契約では請求書が発行される仕様となっている。そして、Excelで行ってきた売上管理はソアスク内の情報を活用してSalesforceのレポートにて実施できており、営業担当者へはSlackなどを通じて情報共有が行われている。客先に対して英語での帳票が必要な場合は、日英双方の帳票をソアスク内で作り込み、Salesforce内のデータがどちらのフォーマットでも出力できるようになっている。「以前は手作業で作成していた海外向けの見積書などの帳票もソアスクにて容易に出力できるようになったのは大きい」と中村氏。

なお、契約書管理は、もともと衛星を運営する地上局の部門にて個別のツールにて実施しているため、営業案件となる顧客との契約管理もその仕組みを活用している状況だ。「地上局側では多種多様な契約を結ぶことになるため、個別に作り込まれた契約管理を行っています。お客さまとの契約管理はそちらにまとめていますが、案件が増えてくれば営業案件を切り出してソアスク側で管理する可能性もあります」と秋山氏。

ソアスクを導入したことで、Salesforce上で案件管理から見積請求に至るフローがシステム化でき、業務基盤としてのSalesforce定着化に大きく貢献していると高く評価している。「今年新たに海外拠点でメンバーを採用し、他の地域でも契約ベースのパートナーが増えているなど、海外案件が一気に増えつつあります。今回Salesforceにて業務基盤が整備できたことで、基本的にはSalesforceとソアスクで同じプロセスで管理可能です。人的な負担をおさえながら事業の拡大が可能になっています」と秋山氏。Salesforceに情報が集約できたことで手間が削減できただけでなく、請求管理などは全てソリューション部に集約したことで顧客対応に注力できるなど、複数のツールで営業情報の管理を行っていた営業担当者からの反応もおおむね好評だ。

管理面では、手作業で行っていた売上集計など売上管理が省力化され、全ての情報がSalesforce上に展開されたことで情報把握が容易になったという。「全てがソアスクで完結できているわけではありませんが、正しい情報がSalesforceに集約され、加工が必要な情報も簡単にエクスポートすることでデータ活用は容易です。案件情報も正しく把握できるようになり、管理の負担が大きく軽減できました。売上状況の把握も迅速で、来期以降の戦略を練る際にも、すぐに検討が始められる状況になっています」と秋山氏。見積から承認履歴も確認できるようになるなど、ガバナンスの透明性は高くなったと評価する。なお、ソアスク導入後の支援についても継続的なサポートが続いており、問い合わせへの迅速な対応などオプロに対する評価も高い。

会議ではKPIが可視化されたダッシュボードを使用

【今後】Excelの予実管理をソアスクに集約、業務の適用範囲をさらに広げていく

現在は、予算などの情報がSalesforceおよびソアスクの業務基盤上では実現できておらず、Salesforce上の売上情報をエクスポートしてExcelなどで行われているため、今後は予実管理についても同一基盤上で展開していきたいと期待を寄せている。また、検収書など各種帳票への電子署名適用もこれから検討していきたいという。「検収書などをメールにてお客さまにお送りしたあとは、プリントアウトして押印してもらったうえで返送してもらうといった処理が発生しています。電子署名によって全て電子化できる環境を整備していきたい」と櫻庭氏。さらに、カスタマイズが柔軟なソアスクを活用し、現状の業務改善も引き続き行っていきたい考えだ。

グローバルにビジネスを展開している同社だけに、これからも各国で拠点が立ち上がり、現地パートナーも増えていくことが予想されている。「拠点ごとにKPI管理や予実管理が必要になるでしょうし、一部特殊なオペレーションも出てくるはずです。衛星の打ち上げも含め事業は順調に進んでいる状況にある中、より複雑化した業務基盤づくりも求められます。できるだけ対応コストをおさえながら、Salesforceおよびソアスクを駆使して運用範囲を広げていきたい」と秋山氏。

もともと同社が目指しているのは、衛星情報を提供する面積と頻度、そして解析内容などの変数で月額費用が発生するサブスクリプションによるビジネスモデルで、すでに顧客への提供も進んでいるものの、運用する衛星の数が増えてきた段階でさらなるビジネス拡大を推進していくことになる。「現時点では2機の衛星を打ち上げていますが、2020年代後半には30機の衛星群を打ち上げて運用に乗せていく計画です。そうなれば、カバーできる面積やデータ更新の頻度などは大きく変わるため、アップセルなどサブスクリプションでの売上拡大に向けたソアスクの活用も期待しているところです」と秋山氏に今後について語っていただいた。

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