株式会社オプロ

株式会社Aoba-BBT

業種: 「教育・学習支援」 「情報通信」
業務: 「経営指標の見える化」 「販売・購買」
製品: 「ソアスク」

4倍に増加した業務量をシステムで吸収することに成功
Salesforceを再始動させることに大きく貢献するソアスク

株式会社Aoba-BBT

経営指導や人材育成のための教育サービス事業を中心にビジネスを展開する株式会社Aoba-BBTでは、同社が手掛けるValue Stream Mapping(VSM)を用いて業務の可視化を実施し、Salesforceを軸に営業活動におけるフローの見直しを実施。最適な業務フローを実現するための仕組みとして、BtoBサブスク管理サービス「ソアスク」が活用されている。その経緯について、システム開発本部 本部長 原 秀文氏、法人研修ソリューション部 部長 小熊 万紀子氏、およびシステム開発本部 鈴木 夕貴氏にお話を伺った。(掲載写真は取材時)

記事の要約
  • 【課題】形骸化していたSalesforce、ビジネス拡大に向けて新たな業務フローを模索
  • 【選定】Salesforceとソアスクで、理想的な業務フローの実装を目指す
  • 【運用・評価】4倍にも膨れ上がる業務量にも現行メンバーで対応できる業務基盤に成長
  • 【今後】会計システムや電子契約システムとの連携など、さらなる自動化・省力化を推進

【課題】形骸化していたSalesforce、ビジネス拡大に向けて新たな業務フローを模索

経営コンサルタントとして著名な大前研一が創業し、経営指導や人材育成のための教育サービス事業を手掛けている株式会社Aoba-BBT。「ライフタイム・エンパワーメント(生涯活力の源泉)」というビジョンを掲げ、教育の給油所となるプラットフォーム形成を目指している。経営層も含めた社会人向けのビジネススキルや資格取得などの各種講座をはじめ、目的に応じた企業向けのビジネス研修など各種コンテンツを用意しており、AirCampusと呼ばれる独自開発されたオンライン教育システムを活用し、双方向性を確保した学びの機会を提供。また幼稚園から高校まではインターナショナルスクールを運営することで将来のリーダー育成に尽力しながら、オンライン大学・大学院を手掛けるなど、幅広い年齢層に対して教育サービスを提供している。

そんな同社では、法人ビジネスを拡大させていくための経営戦略が示されたことを受け、法人営業の業務見直しに着手。営業活動の効率化を目指したタスクフォースが立ち上がり、自社がサービス化しているVSMを駆使して現状分析のための業務フォロー可視化を実施することに。実は導入して数年経過していたSalesforceが十分に使いこなせていないことが以前から課題として顕在化しており、実質的には営業担当者独自の方法でそれぞれ業務を動かしている状況が続いていたという。「Salesforceで見積書を出すメンバーもいれば、独自のExcelで作成しているメンバーまで、部署によってもそれぞれの方法で運用していました。メールで情報が飛び交っており、そのなかで独自のフォーマットでExcelファイルがやり取りされていることも明らかに。営業活動の業務比率で40%にも及ぶ付帯業務が非効率な状況だったのです」と原氏は当時を振り返る。

そんな状況を打開すべく、現場とともに業務フローの最適化によってビジネス拡大に寄与する環境を整備すべく、新たな基盤を検討することになったという。

株式会社Aoba-BBT システム開発本部 本部長 原 秀文氏

【選定】Salesforceとソアスクで、理想的な業務フローの実装を目指す

当初はSalesforceを前提とせず、VSMによって業務課題を現場の担当者とともに共通認識を持ち、どんなアプローチが最適なのかを模索することに。そのなかで候補として挙がったのが、大手外資系ERPでの業務基盤構築だった。「大前提として、業務が上流から下流までワンストップで流して行けることが重要で、途中でCSVやExcelなどを駆使することなく全体最適化が図れる仕組みが必要でした。その意味でERPを候補に選んだのです」と原氏。しかし、ERPは範囲が大きくなればなるほど機能が大味になり、同社独自の運用に合わせづらく、開発工数も膨大に発生してしまう。もっときめ細かな業務へ柔軟に対応できるものが求められたという。

そこで改めてSalesforceが候補に挙がることに。「実はMAツールとしてPardotを利用しており、Salesforceで案件管理から請求までのフローを整備するほうが情報の二重入力も防ぐことができ、使い勝手がいいことが再認識されたのです」と原氏。ただし、そこで課題となったのが、2021年に行われた会計基準の改訂で、新たな収益認識基準を適用する必要があったことだ。実は、海外製のソフトウェアの多くが未対応で、対応する可能性は示唆するものの、確実に実現できるものではなかった。

そんな同社の目に留まったのが、Salesforce上で稼働するBtoBサブスク管理サービス「ソアスク」だった。「上流のプロセスはSalesforce、下流のプロセスはソアスクが担当するなど、それぞれ専門領域にフォーカスしており、ERPに比べても柔軟性が高い。Salesforceとソアスクをセットに考えれば、十分我々の運用に適したものにできると考えたのです」と原氏。いちから開発すれば対応できる部分もあるが、リソース不足やメンテナンス性を考慮すると、できる限りパッケージとして実現できるものが求められた。Salesforce単体では同社が描く理想的な業務を実現することは難しい状況だったが、ソアスクとの組み合わせであれば十分対応できると考えたのだ。

収益認識基準についても、サブスクリプション管理の機能を使い、一括で支払われたものを契約期間のなかで分割し、履行義務が充足されたタイミングで計上するという新たな収益認識基準への適応が可能だと判断。「サブスクリプションのサービスを管理するのではなく、収益認識基準の変更に活用できると考えたのです」と原氏は説明する。

業務要件としては、人的な方法で行われている見積書や請求書業務が1つのプラットフォームで実現できるかどうかだった。「以前は見積書作成などは人によって違うやり方を要求され、その都度うまく吸収して対応してきました。二重入力も発生するなど何度も同じことをせざるを得なかったため、営業が入力した情報がその後の工程で活用できるものが理想でした。まさに1つのプラットフォームで情報活用できるSalesforceとソアスクの組み合わせは魅力的でした」と小熊氏は評価する。

結果として、ビジネス拡大を目指すための業務フロー実現に向け、商談管理から請求業務までの理想的な業務フローの基盤としてSalesforceとソアスクがセットで採用されることになった。

株式会社Aoba-BBT 法人研修ソリューション部 部長 小熊 万紀子氏

【運用・評価】4倍にも膨れ上がる業務量にも現行メンバーで対応できる業務基盤に成長

現在は、営業担当者もちろん、小熊氏が所属する法人研修ソリューション部や経理部やシステム部など部門横断の業務基盤としてSalesforceおよびソアスクが活用されており、社長も含めて60名ほどがソアスクを活用している状況だ。営業が販売する商品は、1万を超えるコンテンツ単位となっており、顧客ごとにカスタマイズした形でコンテンツの組み合わせが提供されている。契約に関しては、月ごとや年毎など顧客の要望に応じたさまざまな契約形態で受注することになる。見積書は毎月1000件を越え、請求書は200件ほど月発行しており、請求書は法人向けオンラインストレージであるoproarts Driveを利用して、客先へWeb配信を行っている。

Salesforceおよびソアスクで業務基盤を構築したことで、業務フローが統一、効率化でき、以前の4倍ほどの業務量にも現状のメンバー構成だけで対応できるようになったという。「事業拡大に応じて営業規模が以前の倍になり、経理部門が発行していた請求書発行業務や監査業務などを小熊の部門が巻き取るようになって業務量が大きく拡大しましたが、以前のメンバーだけで処理できるようになっています。売上レポートなどは全てSalesforceのダッシュボードから営業が直接確認できるようになるなど、業務の効率化にも大きく貢献しています」と原氏は評価する。営業部門の残業時間も年間で半分以下にまで減らすことができるなど、VSMによって業務フローを最適化した効果が如実に現れている。「電子契約サービスとの連携を検討するなど、最近では業務改善や効率化に向けた活動に時間を割けるようになりました。帳票の変更なども自社でカスタマイズできるため、現場の要望にも応えやすくなりました。業務の効率化が進んだことで、色々なことに落ち着いて取り組めるようになっています」と鈴木氏の評価も高い。

株式会社Aoba-BBT システム開発本部 鈴木 夕貴氏

また、ソアスクの品目・サービスマスター機能で複雑な商品体系がマスター化できたことで、営業担当者の入力作業の負担軽減にもつながり、入力ミスの軽減にも大きく貢献している。「今は品目やサービスを分類でき、以前はできなかった商品ごとやカテゴリごとの売上分析なども可能になりました。すぐに経理部門に承認依頼が飛ぶなど、承認プロセスもシンプルになって使い勝手はよくなっているはずです」と鈴木氏。ただし、全ての営業担当者がスムーズに移行できているわけではないため、継続した改善活動は必要だ。「できる限り自動入力できる環境づくりや、漏れている情報を自動的に引っ張ってくるような仕組みに改善するなど、手間が減らせるように意識しています。」

今では営業が作成した見積書をベースに、受注後にはボタンひとつで売上計上できるように。また、情報がワンストップで流れているため、早い段階でチェック、把握ができるようになったのは大きいという。「かつては、間違いがあればどこが違うのかを探偵のように調査しなければならず、いろんな人にヒアリングをかけるなど時間がかかっていました。今は全くその必要がありません。時間短縮どころの話ではないほどの効果です」と小熊氏は高く評価する。同じプラットフォームの上で業務フローが実装できたことで、監査業務も負担も減っている状況だ。「業務フローが説明しやすく、負担なく監査対応できるようになりました。もしシステムがなかったら大変な状況が続いていたはずです。」

【今後】会計システムや電子契約システムとの連携など、さらなる自動化・省力化を推進

今後については、会計システムとの連携を視野に、自動化・省力化を進めていきたい考えだ。「会計システムを刷新したばかりのため、経理部の現場が落ち着いた段階で、連携に向けた活動を進めていきたい」と原氏。また現在は原価に相当する仕入れ部分をどのように改善するのかについても検討していきたいという。今の粗利は、商品ごとに品目マスターに登録されているが、コンテンツ制作費や外部講師へのロイヤリティ管理など仕入の詳細情報はExcelを使って管理されている。正確な営業損益の管理も含めてKPIとして指標で見ていくためにも、仕入部分のシステム化に取り組んでいきたい考えだ。

株式会社Aoba-BBT

さらに、現在連携していない電子契約についても視野に入れている。「現状はメールで送って押印してもらい、Salesforceにアップロードするといった手作業での処理が発生しています。すでに電子契約サービスとは契約済みですので、うまく連携させていきたい」と鈴木氏。さらに、現状はサブスクリプション商材も管理対象となっており、契約状況に応じて顧客ごとのバリューアップに向けた営業活動につなげていく施策にも取り組んでいる段階にある。「そもそもデータがないと分析もできません。今はデータが蓄積されてきているため、Salesforceとソアスクを拡販に向けた営業支援基盤としても活用していきたい」と原氏に今後について語っていただいた。

株式会社Aoba-BBT

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