導入事例

株式会社かんぽ生命保険

業種
「生命保険業」

手続きの満足度評価4.79(5段階)
最短翌日着金で"感動"を呼ぶ保険金請求体験とは

電話・SMS・Webを駆使して不備0件を実現した
かんぽ生命「CX向上」への挑戦


全国2万を超える郵便局ネットワークを通じて、生命保険という安心を津々浦々のお客さまに届けている株式会社かんぽ生命保険。同社は現在、中期経営計画において「お客さま体験価値(CX)の向上」を掲げ、ビジネスモデルの転換を図っている。その一環として、これまで対面が中心だった保険金請求手続きに「カミレス」を導入。電話・SMS・Webを駆使してお客様をサポートする独自フローを構築。試行段階では手続き不備0件と最短翌日での着金を実現し、手続き後のアンケートでは5段階評価で4.79という高い顧客満足度を獲得した。今回は、DX推進の背景とその画期的な効果について、カスタマーサービス推進部 部長の田代康基氏にお話を伺った。

(※本記事は2025年10月に開催されたFIT2025でのセッション登壇内容をもとに編集しています)

記事の要約
  • 【課題】「誰一人取り残さない」ために デジタルとアナログの狭間で生じていたギャップ
  • 【選定】「業務にシステムを合わせる」からの脱却 2ヶ月での実装を可能にしたスピード感
  • 【運用・評価】電話・SMS・Webを駆使した独自フローで、不備0件・最短翌日着金・顧客満足度4.79を実現
  • 【今後】導入対象を全拠点に拡大 デジタル技術で「温かさ」を拡張していく

【課題】「誰一人取り残さない」ために デジタルとアナログの狭間で生じていたギャップ

2007年の郵政民営化により誕生したかんぽ生命。全国の郵便局を通じた「対面の温かさ」が最大の特徴であり強みだが、時代の変化とともにデジタル化への対応も急務となっていた。ただ、そこには同社ならではの課題があった。

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カスタマーサービス推進部 部長 田代康基氏

「年間約140万件ある保険金請求のうち、およそ9割が郵便局の窓口など対面での手続きです。Web請求の仕組み自体はあるものの、ご高齢のお客様も多く、スマホですべてを完結するのはハードルが高いというのが実情でした。結果として、多くのお客様が『デジタル非対応層』として取り残されてしまう状況に、理想とのギャップを感じていました」(田代氏)

コールセンターの対応にも課題があったという。従来、電話で請求の申し出を受けても、その場では完結できず、必要書類を案内して郵送するか、郵便局への来店を促すことしかできなかった。

「郵送の場合、書類の到着、記入、返送、そして審査というプロセスを経るため、着金までに時間がかかります。また、どうしても記入漏れや書類の入れ間違いが発生し、その不備対応でお客様にさらなる手間をおかけしてしまう。センター側も、開封やスキャンといったバックオフィス業務に工数がかかっていました。『お電話いただいたその場で解決し、安心をお届けする』という本来あるべき姿には遠かったのです」(田代氏)

【選定】「業務にシステムを合わせる」からの脱却 2ヶ月での実装を可能にしたスピード感

課題解決のツールとして白羽の矢が立ったのが「カミレス」だった。選定においては、優れたUIに加え、金融機関として譲れないセキュリティ要件をクリアしている点が重視された。

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FIT2025の事例登壇セッションには多くの金融関係者が訪れた

「これまでは『自分たちの業務に合わせてオリジナルのシステムを一から作る』という文化が根付いていました。しかし今回は、パッケージであるカミレスの機能に業務をフィットさせる手法(Fit to Standard)に挑戦しました。オプロさんには当社の厳しいセキュリティ基準への対応も含め、IT部門と直接連携していただくなど、親身にサポートいただきました」(田代氏)

導入決定からサービス開始までのスピードも、従来の常識を覆すものだった。

「やると決めてからわずか2ヶ月で実装まで漕ぎ着けました。このスピード感と柔軟性は、これまでのシステム開発では考えられないことでした。ノウハウがない我々に対し、『こうすればうまくいきます』と具体的なアドバイスをいただけたことも大きかったですね」(田代氏)

【運用・評価】電話・SMS・Webを駆使した独自フローで、不備0件・最短翌日着金・顧客満足度4.79を実現

2025年3月から一部顧客向けに開始された新サービスは、非常にユニークな運用フローを採用している。コミュニケーターは通話中にSMS(ショートメッセージ)を送信し、お客様が必要書類をアップロードする間も、電話を切らずに常時サポートし続けるというものだ。

「通話時間は従来の平均8分から約20分になりました。コスト効率の観点では非効率に映るかもしれません。しかし、『郵便局の温かさ』を大切にする我々にとって、お客様を迷わせず、その場で手続きを完了させることこそが最優先すべき価値だと判断しました」(田代氏)

この「あえて効率を追わない」決断は、予想以上の成果を生み出した。

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FIT2025の登壇資料より抜粋

「コミュニケーターがカメラでの撮影方法やアップロード手順まで丁寧に案内し、書類が整ったことを確認してから電話を切ります。その結果、手続きの不備は試行段階で『0件』になりました。郵送の往復がないため、最短で翌日には保険金が着金します」(田代氏)

お客様からの反響は非常に大きかった。アンケート結果では手続きのしやすさで4.79(5段階評価)など高い評価スコアが並び、フリーコメント欄には驚きの声が寄せられているという。

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FIT2025の登壇資料より抜粋

「『電話してすぐに手続きが終わり、翌日に入金された。時代は変わりましたね、感動しました』というお声をいただきました。これまでお叱りを受けることもあったコールセンター業務で、『感動』という言葉をいただく日が来るとは......。私自身も胸が熱くなりました。コミュニケーターにとっても、お客様から直接感謝されることは大きな励みになっています」(田代氏)

もちろん、定性的な効果だけではない。郵送コストの削減、バックオフィスでの開封・入力作業の削減、さらには郵便局への問い合わせ件数の減少など、財務的なメリットもしっかりと表れている。

【今後】導入対象を全拠点に拡大 デジタル技術で「温かさ」を拡張していく

PoC(概念実証)での確かな手応えを受け、2025年10月からは全拠点の全コミュニケーターが対応可能な体制へと拡大した。

「当初は『お客様に受け入れてもらえるか』『オペレーションが回るか』という不安もありましたが、今では自信を持って推進しています。今後もカミレスの活用範囲を広げながら、デジタル技術を活用しつつも、あくまで『人』に寄り添った、かんぽ生命らしい顧客体験を追求していきたいですね」(田代氏)

デジタル化=無人化・効率化という固定観念にとらわれず、「お客様の安心」を主軸に据えてDXを成功させたかんぽ生命。その姿勢は、多くの企業にとって「真のDXとは何か」を示唆する好事例と言えるだろう。

※記載されている内容は、取材当時のものです。(取材日:2025年10月10日)

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