株式会社オプロ

日本郵便株式会社

業種:「流通・小売」
業務:「電子文書化」

「つながる」がもたらす顧客接点改革 ー日本郵便の新たな価値提供の創造ー

日本郵便株式会社 トータル生活サポート事業部 専門役 小川 晃弘 氏

小川 晃弘 氏

去る6月7日、東京・赤坂インターシティコンファレンスにおいて、オプロ主催によるビジネスフォーラム『Customer Success Forum 2019 経営と現場が変わる「6つの鍵」~ サブスクリプション時代の顧客戦略』が開催されました。
本記事ではその中から、日本郵便株式会社 トータル生活サポート事業部 専門役の小川晃弘氏が登壇した講演『「つながる」がもたらす顧客接点改革 -日本郵便の新たな価値提供の創造-』の内容をご紹介します。

郵便局員が訪問する高齢者向けの「みまもりサービス」

講演の中心となったのは、日本郵便が2017年10月より提供している高齢者向けの「みまもりサービス」を通じた、顧客接点の改革および新たな価値提供の創造についてです。
離れた土地で祖父母などの高齢者が暮らしている人々にとっては、「たまにしか田舎へ帰省できない」「近隣に親しい人が減って会話が少なくなっていないか心配」「なかなか会えないので生活状況だけでも把握したい」といった課題があります。同サービスは、近隣にある郵便局の局員がiPadを持って、月1回のペースでこうした高齢者宅を直接訪問。約30分の会話の中で、生活の様子を伺ったり、困りごとを聞いたりして、遠く離れた家族に知らせてくれるというものです。
小川氏は「近年では一人暮らしの高齢者率が増加傾向にあるだけでなく、社会的なつながりの欠如や孤独死、認知症、振り込め詐欺などの不安材料も数多く存在しています。一方で弊社としても、郵便物や窓口業務の減少といった課題がありました。そこで、既存顧客の割合に高齢者が多いことから、子世代へのアプローチとして、親と子、家族が“つながる”サービスの提供を始めました」と、その背景について語ります。利用者は70~80代が中心で、契約者は利用者の子世代にあたる40~60代がボリュームゾーンを占めているそうです。

報告書の文字数や写真枚数制限がネックに

現在好評を博している同サービスも、実はいくつかの課題を抱えていたそうです。
この点について小川氏は、「みまもりサービスはSalesforceで構築されており、『Visualforce』で作成したPDF形式の報告書を、契約者にメール添付で送る方式となっていました。しかし、このPDF出力はデザイン面での自由度が低いことに加えて、コメントが255文字まで、写真は1枚のみという制限があり、社内でも“月額2,500円であれば、もっとリッチなコンテンツにしてはどうか”という声が上がっていたのです」と語ります。
そこで同社では、「もっと利用者の状況や訪問の様子を分かりやすく伝えたい」「機械ではなく人が実際に訪問しているというサービスの“強み”を報告先にも感じてもらいたい」「報告先にもっとサービスの“使用感”を感じてほしい」という観点から、報告書のリニューアルを開始したそうです。

「OPROARTS」で報告書のリニューアルを実現

新たな報告書のコンセプトとしては、まず無機質な報告ではなく、訪問の様子がよりリアルに伝わることが重要でした。そこで、写真の複数枚添付および、利用者からの一言メッセージ欄を追加。また、サービスの強みである“人が見守る温かみが伝わる内容”にするべく、訪問担当者のイラスト掲載、写真やコメントによる報告内容の充実、人間味があり温かみの伝わるデザインを採用しました。さらに、報告先にとって次のアクションの気づきとなる報告にするため、時間経過による変化や、質問項目の内容に関連したコラムの掲載も行いました。
「こうした報告書のリニューアルを行うにあたり、必要不可欠だったのがクラウド型のドキュメントフレームワーク『OPROARTS』でした。メール添付でのPDF送付はもちろん、デザインに関する自由度の高さ、サイズ圧縮による複数枚の写真添付など、弊社の求める機能がすべてそろっていたのが採用のポイントです」(小川氏)

内容が充実した温かみのある報告書が作成可能に

こうしてリニューアルした新しい報告書では、ヘッダー部分に季節感がある月替わりのイラストが配置され、写真は最大で5枚の添付が可能に。利用者からの伝言、質問に対する回答および前回・前々回訪問した結果の表示、訪問担当者のイラスト、月替わりのコラムも掲載できるようになったのです。
リニューアル後、契約者の方々からは『優しそうな担当者さんと母親のツーショット写真が添えられていて安心しました』『寡黙な父親なのですが、コメントにある父の動向から話が弾み、より距離が縮まった感じがしています』『最近体調が悪いとの報告を受けてすぐに病院へ連れて行ったところ、病気が発覚して大変助かりました』といった感謝の声が増加。また、利用者の方からは『一人暮らしだとどうしても話す機会が減るので嬉しい』という声が多くなっているそうです。
小川氏は「家族に対して心配をかけないように“元気だよ”と言っても、実際には我慢をしている、強がって見せている高齢者の方も多いものです。近年ではセンサーなどを利用した見守りサービスも登場していますが、弊社では“人が訪問する良さ”を大切に考えています」と語ります。

高齢者の生活をトータルサポートするサービスへ

最後に小川氏は、「弊社では、郵便局ネットワークをさらに活性化することにより、お客さまや地域・社会のお役に立てる『トータル生活サポート企業』を目指しています。この『みまもりサービス』でも月1回の訪問に加えて、買い物や生活支援、インフラなどまでワンストップで提供し、コンシェルジュのようなイメージで高齢者の生活をトータルサポートするサービスに成長できるよう、今後もさらなる取り組みの強化を図っていく予定です。直近では、『OPROARTS』を利用したフォトブックの展開や、企業のマーケティング活動に役立つ高齢者を対象としたモニターサービスの支援なども考えています」と語り、講演を締めくくりました。